「マクドナルド化する社会」ジョージ・リッツア

マクドナルド化する社会
マクドナルド化」とは,以下の4つの次元を持つ。

  • 効率性…ある状況からある状況へ変化するための最適な方法を提供する(おなかが空いた→腹が膨れるものを/ドライブスルー)
  • 計算可能性…量で測れる部分の重視。速度の速さ,ボリュームの多さなどがアピールポイントに。
  • 予測可能性…品質が同じ(いつでも同じ味の商品)
  • 制御…人間技能の人間によらない技術体系への置き換え(誰でも製品が作れるシステム/自らの判断ではなく,座り心地の悪い椅子を置いて退店を促す)

これらは「すっとこどっこいなことをする人間」から思わぬ煮え湯を飲まされてストレスを受けることなく期待通りの結果を得ることが出来るというひじょーに高いメリットを持つ。だからこそこの特徴を持つ企業は大きな成長を遂げた。
しかし,「上記4つは本当に顧客のためなのか?」という問いかけをこの本では行なっている。効率がいいはずなのに,客は立って待ち,お盆を席まで運び,食べた残りを自ら捨てる。量が多いというが,本当の原価はずっと低い。品質を同じくするために原料に農薬などが使われる。そして,制御は人間性がそのシステムには不要であり,意志のない機械のような人間を望んでいる。そこを監督する人間はそのような機械になるのはゴメンだというが,マクドナルド化はレストランだけでなく,医療や教育にまで広がっているのだ。
このマクドナルド化の檻(鉄製に感じる者もいれば,ゴム製と感じる者もいる)から抜け出すためには,ラインに乗っかって楽をしてはいけない。リスクを考えずに済むかわりに,何をそのシステムに捧げているかを考えようということを述べているのだと思う。
ぼんやりと感じていたことをメインテーマにした本で,興味深く読んだ。