モンスター

ということで映画を見に行く。
シャーリーズ・セロン,凄い。日本にも天才的な女優さんはいると思うが,ここまで身を投じて,自らのめりこんでいく女優はいるだろうか。シャーリーズ・セロンというと,自分が知っているのはサイダーハウス・ルールのヒロインである。といっても映画は見ていなくて,宣伝で見た映像を原作に当てはめただけなんだけど。古き良きアメリカの美女というかシンボル的なイメージを持っていた。でも,サイダーハウス・ルールでやりたかった役はホーマーがあこがれるキャンディではなく,パワーにあふれたこの小説のヒーロー,メロニィ*1だったのかなぁ。粗暴で短絡的だが,セルビーへの優しさや彼女なりの善悪の判断があった描写にまだ救われる。救われると言っちゃいけないのかもしれないが。しかし最初の殺人を責めることができないし,無邪気に職探しするアイリーンに痛みを覚える。工場での労働でつつましく暮らすことを2人で選択出来なかったのかと思うけど,自分の支配下にない他人を食わせるってのは大変だよなぁ……。
クリスティーナ・リッチも女優だねー。かわいいなぁと思いつつ,この人ってもっと肉感的じゃなかったっけとも感じたんだけど,そういう役柄なんですね。あどけないだけでなく,なんか少年っぽい感じ。肌とか目とかすごくきれいで,にごりまくり(特殊メイクもすごい)のアイリーンと好対照。破滅的でボロボロのアイリーンを拘らずに愛するところが出来るセルビー。アイリーンの属する世界とは一線を隔したきれいな世界の彼女が自分を愛してくれることにアイリーンは感動したんだろう。しかし,そのあどけなさ故に自分の境遇が悪くなることには敏感でも,アイリーンの境遇を思い巡らすことはできない。でも,苦しむアイリーンを見ていると同情してしまうが,自分の暮らしが何でなりたっているかということに目を向けようとはしない。小悪魔っていう感じではなくて,無意識なのかな。悪いことをさせてるっていう意識はずっとなかったんだろうなぁ……。
ホント,この2人の女優に全てがあったと思う。他の登場人物も良かったが,2人の重厚さに圧倒された。
最初の方ではまだあまり入り込めなかったんで,日本で(無理やり)やるとしたら誰だろうとか考えてた。セルビーは安達祐美?いや池脇千鶴か?とか。アイリーンは元からすごく変身してるんで想像もつかないが,見ながら頭を捻っていたらなんか藤原紀香に頑張って欲しいと思った。

*1:暴力的で男を吹っ飛ばしたり怒りのあまり小屋を破壊したりするが主人公を愛して?いる。でも彼女がいたりもしたんだよな。破天荒ながら生き様がカッコよく,ヒーローなのは主人公も認めている。