最終回

女である於継が「築いた城」ってなかなか言えることじゃない。失明したが,於継の後を継いでキリリとした面持ちで歩く加恵。ちゃんと城を守ってるんだなぁと伝わってくる。
研究が一段落してしまった青洲だが,胸を突かれて苦しむ女を治療する。医術の効果がより普通の人にとっても凄かった時代だったんだなぁと思う。
居間にある「南朝天子…」という掛け軸はなんだろう?和歌山あたりだと南朝を支持していたのかな?
喉がつらそうな小陸を見えない目で気遣う加恵。それに教えられて小陸を診察する青洲だが,小陸もすでに自分の病を見抜いていた。障害を乗り越えたと思う度にかなわないものに気づかされる青洲…。そして身を粉にして働くことで病から気を紛らわせる小陸,美しい。しかしじきに彼女は床についてしまう。
病人に相対する青洲の真剣さは人を生かすために刀を握る武士だなぁと思う。しかし血管の岩は斬ることが出来ない。そんな青洲の元に乳岩に侵された母を持つ商人が。いよいよ青洲の念願をかなえる日が来た。だが,生かそうとして別の病を生んではいけないと自戒する青洲。加恵の失明は通仙散だけでなく青洲の謙虚さも生んだのだ。
苦しむ小陸に涙する加恵。「姉と呼ばれながら…」からのくだりは原作のまま。凄いよなぁと今回も見入ってしまった。小陸は姑と嫁を見ていて嫁に行かず,姑にもならないで済んでよかったという。米次郎が聞いたら卒倒しますがな。鋭すぎる小陸に返す言葉のない加恵。
「至らぬ嫁だ」と泣く加恵をなぐさめる青洲。(ドラマでは?)青洲が於継と加恵に深く感謝し,わかっていてくれていることを救いとして出しているんだなぁ。墓が本物らしいことに感慨を受ける。原作では小陸の言葉を返すことなく小さな墓の描写に行き,それよりはるかに大きな青洲の墓を語って終わるわけだが,ドラマでは青洲の墓は出なかったな。
私は有吉佐和子が好きなので見ることにしたのだが,このドラマから有吉作品に入っていく人もいるんだろうなぁと思えるくらい原作の台詞を生かしていて良かった。キャストも皆はまっていて,元々よいだろうなぁと思った方もそれ以上によかった。
長い時間軸のドラマながらずっと夏のシーンで,夏に再放送してくれたらまた格別だろうなぁ。良いドラマでした。